元々、ビールきっかけで好きになったチェコ。ただ、チェコにはお酒以外にもたくさんの魅力で溢れています。
プラハの美しい石畳を歩いているときに、ふと「チェコのアパレルメーカーって知らないな」と思ったのがきっかけでチェコのファッションにも興味を持ちました。
チェコには、ビールやボヘミアガラスと並び、世界中のハット愛好家から聖地と仰がれる場所があります。それが、1799年創業の老舗帽子メーカー「TONAK(トナク/トナック)」。
チェコの歴史をそのまま形にしたような風格ある帽子。
225年以上、変わらぬ製法で世界の頭上を彩ってきたこのブランドには、単なるファッションアイテムを超えた「本物の物語」が詰まっています。
プラハの路地裏で見つける、あなただけの一生モノ。その選び方と魅力を、現地の空気感とともにお伝えします。
目次
世界を包み込む220以上の歴史と「帽子の街」

TONAKの歩みは、1630年にノヴィー・イチーン(Nový Jičín)で帽子職人のギルドが承認された時代まで遡ります。1799年にヤン・ネポムク・ヒュッケルが製造所を設立して以来、チェコの産業史を牽引してきました。1865年には蒸気機関を導入し、フェルト帽の機械化生産を世界に先駆けて成功させた先駆者でもあります。
- 聖地ノヴィー・イチーン:創業の地であるこの街は、現在もTONAKの主要拠点。何世代にもわたって熟練の職人技が継承されている、世界でも稀有な「帽子の街」。
- 世界を支える黒衣(くろご)の実力:TONAKは自社ブランドのみならず、世界の有名グローバルブランドへ「帽体(帽子の型)」を供給する主要サプライヤーです。生産量の約90%を輸出し、ユダヤ教徒の伝統帽や南米の先住民が愛用するボウラーハットなど、世界中の多様な文化をその技術力で支えています。
妥協なき素材:ウールとファーフェルト、投資すべき価値の違い


帽子愛好家がTONAKを選ぶ最大の理由は、その圧倒的な素材の質にあると言います。
- 機械生産のウール vs 職人仕上げのファーフェルト:店内には手軽なウール製品(筆者が現地でみた時は4,000円程度)も並びますが、ここで選ぶべきはブランドの真髄であるファーフェルト(獣毛)です。
- ファーフェルトの魔法:ラビットやヘア(野ウサギ)、最高級のビーバーなどの毛を使用したフェルトは、ウールとは一線を画す上品な光沢としなやかな手触り、そして驚くほどの軽さと耐久性を備えています。
- 一生モノの被り心地:実際に100%ファーフェルトの「Porkpie Uomo」を手に取ると、その密度と軽さのバランスに驚かされます。日本で購入するよりもお得な現地価格で、長く愛用できる「一生モノ」を手に入れる絶好の機会です。
プラハ・フラグシップショップ


プラハを訪れるなら、旧市街広場から徒歩5分、Žatecká通りにあるフラグシップショップへ。
コンパクトな店内の壁一面には、日本では未発売のデザインが所狭しと並んでいました。
私がお店に行った際には、スタッフの休憩時間(12:00〜13:00頃)にお店がクローズしていました。毎日そうなのかまではわからなかったのですが、注意しましょう。
「Shop Tax Free」の札が置いてあったので、免税についてお忘れなく。
旅人のための「帽子お持ち帰り」術


お気に入りの帽子を最高の状態で日本へ持ち帰るには、少し注意が必要です。
お店では、上の写真のように帽子の型崩れ用のスポンジや紙袋などを用意してくれますが、柔らかい素材なので飛行機は特に注意しましょう。
- 機内持ち込み:購入時に無料の紙袋か有料のボックスを選択できます。飛行機の機内では、頭上の棚に入れるのは厳禁。他の荷物に押し潰されて型崩れするのを防ぐため、「座席の下」に置くのが最も安全な方法です。
- 長く愛用するために:天然素材は湿気や害虫に弱いため、ショップで販売されている専用のミニブラシやハットボックスを併せて検討するのも、良い旅の思い出になります。
まとめ:チェコの風土が育てた「一生モノ」をその手に

流行に流されず、年月を重ねるほどに馴染んでいく一生モノの相棒。次のチェコ旅行では、あなたの人生に寄り添う一品を探しに、TONAKをどうぞ。





















