東京・広尾。閑静な住宅街の一角にある重厚な扉をくぐると、そこはもう日本ではありませんでした。
2026年1月13日・14日、駐日チェコ共和国大使館で開催された「チェコの情熱あふれる高貴なデザイン展(Czech Passion for Noble Design 2026)」に参加してきました!
チェコといえばビールの印象が非常に強い国ですが、ビールの認知が高まってきたからこそ同時に他の文化も発信することで、チェコという国の魅力が、より多層的に、深みを増して伝わると感じています。
チェコは、日本と同じ職人(手仕事)の国です。
知れば知るほど、もっと知りたくなる国。それがチェコ!
展示会に出展していた、チェコのブランドを写真と合わせてご紹介します。
Special Thanks!!
Mind Artists International
目次
伝統と革新が響き合うチェコの魅力
出展していた各ブランドについてご紹介していきます。
Mind Artists International


チェコ製品の輸入商社であるマインドアーチスツインターナショナル。ブースでは、チェコの歴史と技術が凝縮された4つのブランドが展開されていました。
中でも存在感を放っていたのが、チェコの名門ジュエラー「Granát Turnov(グラナート・トゥルノフ)」です。
1953年にリベレツ州トゥルノフで創業した、チェコ国石・ガーネットの採掘権を持つジュエラーです。
同社のボヘミアンガーネットは、純度74%以上を誇る希少な「パイロープ(燃えるような赤)」であり、熟練職人の精緻なカットにより永遠の美しさを放ちます。
日本では「柘榴石(ザクロ石)」として親しまれ、実りの象徴や幸福を呼ぶ石としても知られる1月の誕生石。
70年以上にわたり、その神秘的な赤をアートジュエリーへと昇華させてきました。今回は貴重なミュージアムコレクションも特別展示され、チェコが誇る「高貴な赤」との初対面となりました。


2つ目は、思わず顔がほころんでしまった、ブリキのおもちゃ「KOVAP(コヴァップ)」。
1946年の創業以来、チェコのセミリという町で作り続けられているこのおもちゃ。
世界的に消滅の危機にあるブリキ工場ですが、ここでは貴重なヴィンテージ設備をメンテナンスしながら、熟練職人から若者へと技術が受け継がれています。
象徴的な「赤いトラクター」の素朴な愛らしさは、デジタル社会の現代において、忘れかけていた温もりを思い出させてくれます。
その他、チェコ人初の独立時計師協会(AHCI)会員であるルジェク・セリン氏の超絶技巧が光る「Seryn Watch(セリンウォッチ)」や、日本人の感性に響くボヘミアンガラスなど、まさにチェコ・デザインの「宝箱」のようなブースでした。
Silky Gang

首元に「物語」を纏う。
物語やおとぎ話から着想を得た、まさに「物語を纏う」ための高級ファッションアクセサリーブランドです。
会場で目を引いたのは、まるで芸術作品のようなスカーフたち。
チェコのイラストレーターとの協働によって描かれたその柄には、カシミヤや高級シルクの光沢とともに、チェコの文化的な薫りが色鮮やかに織り込まれていました。
その美しさを支えているのは、国境を超えた徹底的な品質へのこだわりです。プリントはイタリアの老舗工場で、革パーツにはナポリ産の厳選素材を使用し、最終工程はチェコ国内の熟練職人が仕上げるという徹底ぶり。



限定版にはシリアルナンバー入りの証明書が付くなど、単なるファッションアイテムを超えた高い希少性も魅力の一つです。
最新作では、チェコのおとぎ話「悪魔とカーチャ」をテーマに、スカーフだけでなく陶磁器の街で作られたアート皿も展開。
チェコの伝統と現代の感性を優雅に融合させたその世界観は、眺めているだけで物語の中に引き込まれるような不思議な引力を持っていました。
Izaak Reich Crystal


「持つ」ことを忘れるほどの軽やかさと、日本への敬意
創業から200年以上の歴史を礎に、土地の物語と現代デザインを融合させる手吹きガラス工房です。
今回の展示では、二つの独自のコレクションが空間を彩っていました。
メインコレクションの「Linden」は、創業者が植えた古い菩提樹の葉を幾何学的に表現したもの。
自然の詩情と精緻なチェコの職人技が見事に調和し、手吹きガラスならではの繊細な造形は、視覚的な重厚感に反して驚くほど軽やかで、職人の高い技術を物語っています。


そして特に筆者の心を捉えたのが、日本文化への敬意から生まれた限定コレクション「UME」です。
日本の酒造りの名匠との協働により、伝統的な酒器としての機能性を備えつつ、チェコの職人技で梅の花を思わせる繊細なクラック模様を表現。
「美・希望・再生」を象徴するこの作品には、真正証明書に加え「梅」の文字を記した書まで添えられており、単なる製品を超えた深い体験を提供しています。
チェコのガラス文化と日本の美意識が響き合う様は、まさに両国の職人精神が架けた文化の橋そのものでした。
MODERNISTA


建築美を食卓へ。チェコ・キュビスムの再現
東京を拠点にチェコ・デザインの魅力を発信しているモダニスタ。本展では、ヨーロッパの伝統と精緻な職人技、そして日本の美意識にも通じる調和の取れたコレクションが並びました。
中心となるのは、純粋幾何学の巨匠でありチェコ・キュビスムを代表する建築家パヴェル・ヤナークによる磁器作品です。
展示されたカップや瓶は、チェコ装飾芸術の頂点とも称され、幾何学的なのにどこか温かい、時代を超えた優雅さを放っていました。
さらに、プラハの近代的な景観を形作った建築家ヨゼフ・ゴチャールの作品に着想を得たキュビスム・ランプも展示に彩りを。
その絶妙なバランスと、職人の技術を大切にする心。それは私たち日本人の感性にも強く響くものがあり、「チェコ・デザイン、やっぱり奥が深い!」と改めて実感しました。
HAN Design s.r.o.

アール・ヌーヴォーの巨匠、ミュシャの魂を継ぐ
世界的なアール・ヌーヴォーの巨匠アルフォンス・ミュシャ。その血統と芸術的遺産を色濃く受け継ぐのが、HAN Design s.r.o.が紹介する限定コレクターズコレクションです。
ミュシャの孫娘であるヤルミラ・ミュシャ・プロツコヴァーの手による作品は、祖父の描いたモチーフや特徴的なディテールを厳選し、現代的な感性と精巧な手吹きガラス技術で昇華させたもの。
単なる装飾品の枠を超え、気品と調和を兼ね備えた「芸術作品」としてのオーラを放っていました。
その希少性も特筆すべき点です。
各製品には固有の製造番号が刻まれ、デザイナーの直筆サイン入り真正証明書とともに豪華なギフトボックスに収められています。
Grofova Design
北欧の自然美とサステナビリティの融合
プラハ発のジュエリーブランド。リサイクルシルバーを使用し、職人の手で一つひとつ作られています。
「ベリーズ」シリーズは北欧の野生のベリーに着想を得ており、金属でありながらどこか有機的で、温かみのあるフォルムが特徴。派手すぎない静かな優雅さは、日本の日常使いにも自然に溶け込みそうです。
TON
160年変わらぬ「曲げ木」の美学
カフェ好きなら一度は目にしたことがあるであろう、有名な曲げ木家具メーカー。
熟練職人が木を蒸して手作業で曲げる技術は、1861年から変わりません。耐久性と美しさを兼ね備えたその椅子は、日本の生活空間にも馴染みやすく、改めて「良いものは時代を超える」ことを実感させてくれます。
デザインを通じて触れる「まだ知らないチェコ」
チェコといえばビールが有名ですが、この展示会で私たちが目にしたのは、200年以上の歴史を誇るガラス工房の伝統や、160年続く曲げ木技術、そして世界的な巨匠ミュシャの遺産を継承する情熱です。
同時に、リサイクルシルバーを用いたサステナブルなジュエリーや、最新の複雑時計、物語を纏う現代的なファッションアクセサリーなど、伝統を守りながらも常に革新を続けるチェコ・デザインの現在地を肌で感じることができました。
まだ知らないチェコへの興味、湧きませんか?




















