ビールサーバーの専門家からビールの注ぎ手へ。サーバーを熟知した木村さんが考える美味しいビールとは。

ピルスナーウルケルを飲むようになってから、注ぎ方やビールサーバーの違いなどに興味を持ち始めた筆者です。

今回は、生ビールディスペンサー(ビールサーバー)の製造・販売を行うボクソン工業経て、ビールの注ぎ手として独立した「BEER STAND MINATO(ビールスタンド ミナト)」のオーナー・木村さんにお話を伺いに。

もともとビールサーバーの専門家ということもあり、普通のビアバーじゃ絶対に聞けないこだわりも聞けるので、新感覚のビアバーでした。

本日のお相手

BEER STAND MINATO 木村さん

ちなみに、東京のビアバーで飲んでいたら「ミナトってビール美味しいんでしょ?あそこ行ってみたいなー!」という方もいらっしゃいましたよ!

チェコとは無縁なテーマとなってしまいましたが「美味しいビールを飲みたい!」と思い行き着いた次第です。

ご興味ある方はぜひ読んでみてください!

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ビールサーバーの専門家から注ぎ手へ

nocco
今日は、お時間いただきありがとうございます!初めに、木村さんの自己紹介をお願いします。
木村さん
こちらこそありがとうございます!

もともとボクソン工業に約10年ほど勤めていまして、ビールサーバーの飲食店への設置やメンテナンス、サーバーそのものの資材調達から製造などに携わっていていました。

自分で図面も書けるので、サーバーの設計なども行なっていましたね。

その後、部署異動もありお客様であるビールメーカーに営業を行ったり、経営にも携わっていました。

nocco
今まで注ぎ手のスペシャリストにはお会いしましたが、ビールサーバーにここまで深く携わっていた方にお会いするのは初めてです。

サーバーの話をつまみに、ビールが飲めますね。笑

木村さん
そういうお客様はかなり少ないですが、話を振っていただければ語らせていただきますよ。笑
nocco
改めてお店に来たいと思います・・・!

ビールサーバーの専門家であり、経営にまで携わっていたのに、なぜビールスタンドをオープンさせたのですか?

木村さん
実は、もともと飲食店に興味があったんです。

こういう仕事に携わっていたこともあり「ちゃんと管理をしてビールを提供しているお店が少ないな・・・」と感じることが結構あったんですよね。

それなら、自分の知見を活かしてしっかりと管理された美味しいビールが飲める場所を作りたい、と思ったのがきっかけです。

「若者のビール離れ」という話をよく聞くと思いますが、もしかしたら本当に美味しいビールに出会っていないんじゃないかな?と感じているくらいですよ!

最初は、ボクソン工業内で飲食店事業部をやりたいと思っていたのですが、実現できず。

その後、新型コロナウイルスで飲食店が厳しくなる中で「逆にお店を出すなら今なんじゃないか?!」と思い、2020年春頃からプロジェクトをスタート。

その年の秋にオープンすることができました。

BEER STAND MINATOのこだわり

ミナトのスイングカラン
nocco
ミナトのこだわりは、お話を聞く限り「徹底した管理」と「ビールサーバーへのこだわり」ということになりますかね?
木村さん
はい、そうですね。

例えば、ビールサーバーは「スイングカラン」というものを使っています。ビアホールなどでよく使われているタイプのビールサーバーですね!

居酒屋など一般的によく見かけるビールサーバーは、瞬冷タイプの箱型ビールサーバーになると思います。

今まで私が色々なお店で飲んできた中で、この瞬冷タイプのサーバーよりもビアホールのようなスイングカランで流速を速くして注いでいるお店のビールの方が美味しいと感じたんですよ。

そこで、私のお店でもこのスイングカランを導入しています。

当時はビールサーバーを造る側で、今は使う側。

美味いビールを提供する「技術」をこれからも広げていきたいという想いもあり、それがこだわりとなっています!

スイングカランのパーツはこれだけ。だからこそ、注ぎ手の技術も重要になる。
nocco
なるほど。私は技術面のことはわかりませんが、ビールサーバー1つで注がれるビールも変わってくるというわけですね。
木村さん
とはいえ、スイングカランを導入したからといって必ず美味しいビールを注げるというわけではありません。

これはあくまで個人的な意見ですが、瓶ビールを70点のビールだとしたら、スイングカランを使ったビールは20点〜90点までぶれ幅があります。

注ぎ手次第で、樽生ビールの魅力が激減してしまうこともあると考えています。

ミナトは、スイングカランを使い安定して高レベルで提供できるお店を目指し、私自身も注ぎ手としての技量を高め美味しいビールを提供していきたいと思っています。

ちなみに、BIER REISE ’98(新橋)の松尾さんに「ビールは、注ぎ方ではなく、受け方だよ。」と言われ、まさにと思ってます。

勉強あるのみですね。

美味いビールは1つじゃない

nocco
ミナトをはじめ、ビールにこだわったお店が増えてきていると思いますが「本当に美味しいビール」を飲むためにはどうしたら良いでしょうか?
木村さん
とても難しい質問ですね。笑

私の経験からお答えすると、ビールの保管から注ぐところまでしっかりと管理ができているからこそ美味しいビールが飲めると思っています。

ビールサーバーのメンテナンスはもちろん、グラスの洗浄1つとってもものすごく重要な要素だと思います。

残念ながら、非常に基礎的な部分ではあるものの、全てのお店でしっかりと管理されているわけではありません。

ただ、これは外側からは判断しにくいですかね・・・。

こういった管理をしっかり行っている前提で言えば「ビールの味はそのお店の個性」と捉え、自分の好みに合うお店を探すことが一番重要だと思います。

同じビールでも、お店で味が違うという体験は nocco さんもありますよね?

nocco
確かにありますね。お店によって「なんかいつもと違うな?」と思うこともありますし、同じお店の同じビールでも「注ぎ分け」で違った味わいを表現しているお店もありますよね。
木村さん
そうなんです。

結局、管理を徹底している前提であれば、注ぎ方1つで味わいも変わってくるのがビールなんです。

「どのお店が美味しいのか」というのももちろん大切ですが、実際に色々なお店で飲んでみて自分が美味しいと感じる感覚を大切にしていただけると良いかなと。

例えば、ミナトであれば私自身が設計したスイングカランを使い、私自身が美味しいと自信を持って言えるビールを安定して提供できるように心がけています。

これが「ミナトが考える美味しいビール」です。

泡に味がるという経験をしたことがある人が一般的には少ないようで「泡が初めて美味しいと思いました!」という方もとても多いです。

「(泡が)苦いから飲みにくい」と思ってビールは苦くて飲みにくい、と思ってしまっている方もきっといると思うんですよ。

そう言った方には、ぜひミナトのビールを体験してほしいです!

nocco
ビールの味わいをお店の個性と考えると、色々なお店で飲んでみたくなりますね!

ちなみに、ミナトは大手4社のビールを扱っていますがこれもこだわりの1つですか?

木村さん
はい、そうです。

生ビールの需要が下がってきていると言われる中で「生ビールに興味を持ってもらうきっかけを作り、この業界に貢献したい」と考えています。

だからこそ、話題のクラフトビールや限定ビールのようなものではなく、大手ビールメーカー4社のビール「アサヒ樽生(マルエフ)」「キリンラガー」「サッポロ黒ラベル」「サントリー ザ・モルツ」を取り扱っています。

これまで色々なビールを飲んできましたが、日本のビールはどれも本当に美味しい!

それを、正しく美味しい状態で飲んでもらいたくさんの方に魅力を知って欲しいと思っています。

世界のビールもクラフトビールももちろん美味しいんですよ?

でも、最終的に「やっぱり日本のビールは美味しいよね!」と思ってもらえる世の中にしていきたいですね!

ビールサーバー豆知識

nocco
私が聞いたところで役には立たないと思いますが、ビールサーバーについて豆知識とかあったらぜひ教えて欲しいです!
木村さん
そうですね。

例えば、ちゃんと樽をビールサーバーについないでいるのに「泡ばっかり出てきて、ちゃんと注げない!」ということがあるんですが、これはガス圧が原因の1つだったりします。

樽の温度によってガス圧を細かく変えていかないと、注ぐ際に泡が多くなってしまったり、流速が出ずうまく注げないなんてことも。

より良い状態でビールを出すには、樽の温度に対して適した圧力を設定してあげないといけないんです!

これは、夏と冬でも変わってきますし、お店によっては昼と夜で変えているところもありますよ。

温度が高くて圧力が低いと泡ばかりに。

温度が低くて圧力が高いと、ガスが溶け込んでしまって翌日注いでみたら泡だらけなんてこともよくありますね。

ビールサーバーの管理、ビール樽の管理。ビールは、全てにおいて「管理」が大切ですね!

nocco
面白いですね。私が学生時代にバイトをしていた居酒屋はどうだったんだろう。

それにしても、完全に業者の方ですね。笑

木村さん
どうせなら、過去の知見も活かしていきたいですしね!ミナトでは、私のこだわりを形にしていきたいと思っています。

今、試したいと思っているのは「配管の太さによる味わいの変化」なんです。

私個人の感覚では、

「配管が細い方が、尖った印象で後味の余韻が少ない」

「配管が太い方が、丸みがあって余韻が広がってくる印象」

と感じているんですよ。

これは、どちらが良いというわけではなく「ビールに適した設備」を整えることができるのではないかと考えているんです。

同じビールで設備を変えて試してみたいところですね。

nocco
試飲することがあれば、ぜひ呼んでください・・・!

美味しいビールを楽しもう

いつもと違った視点でビールへのこだわりについてお話を聞くことができ、またビールが好きになってしまいましたね。

2022年は、自分が好きなビールを探しに旅に出たいなぁ。(by nocco)

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