2022年2月現在、日本に4名しかいないピルスナーウルケル社認定のタップスター。
「醸造家がビールを醸造し、バーテンダー(注ぎ手)がビールを完成させる。」というブランド理念を持つピルスナーウルケル社は、世界中で “タップスター” の育成を強化しているそうです。
しかし、日本において何をしたらタップスターになるれるのか、何か必要な資格があるのかなど公に情報が出ていない状況です。
ウルケル愛が高く「タップスターになりたいです!」と考えている方もいらっしゃることでしょう!
そして、私のような会社員もタップスターになれる可能性はあるのか?!
色々な疑問があったので、アサヒビールさんをはじめ、同じタイミングでタップスタープログラムを受け合格した3名のタップスターにもお話を伺ってみました。
※アサヒビールさんに掲載許可をいただいております!
目次
「ピルスナーウルケル タップスター」とは
「地域の飲食店様に大きな影響を与えることを期待」というコメントがとても印象的ですね。
日本では、どうしても所属している会社(お店)単位で動くことが多いと思いますが「その垣根をこえて、魅力を発信していってほしい!」というピルスナーウルケル社の期待を背負っているということなのでしょうね。
タップスターになる条件
ピルスナーウルケルのイベントがご縁でアサヒビールさんとお話しする機会があり、改めて「タップスターになるにはどうしたら良いですか?」という質問をしてみました。
ピルスナーウルケルに接していることが大前提
基本的には、樽生ピルスナーウルケルを扱っていることが大前提で、かつその飲食店でバーテンダーとしてお仕事をされている方が対象。
なので、樽生ピルスナーウルケルを扱っている飲食店の「シェフ」は、タップスターの資格はないということになりますかね。
そして「ピルスナーウルケルのことを大切にしてくれている」というのも重要なポイントのようです!
注ぎ手となるタップスターは、ピルスナーウルケルを完成させるために重要な存在。
だからこそ、ピルスナーウルケルのことを大切にしているというのは最低条件なのかもしれません。
実際にタップスターのお店に行かれたことのある方はご存知かもしれませんが、樽の管理やサーバーの管理、さらにグラスの管理など、ビールはもちろんビールに関わる管理体制がとても丁寧な印象がありますよね。
ちなみに、現在一般的な会社員である私は、完全に対象外となります!
タップスターの募集はあるのか
「タップスター募集中です!」みたいなことは、基本的にはないそうです。
チェコ本国からの推薦や、国内でも「タップスターとしての適正や条件を満たしている」と判断された場合に、アサヒビールさんからお声がかかるとのこと。
なので、最低条件はあるにせよ「ゴールは見えないけど日々努力を積み重ねるしかない」というのが現状のようです。
タップスタープログラムについて
まず、国内でアサヒビールが考える様々な条件を満たした「推薦された方々」の中から、さらに選考を行います。
その後、通過した方々にはチェコ・ピルスナーウルケル醸造所で行われる「タップスタープログラム」を必ず受講していただきます。
そして、最終的にそのプログラムに合格することで、正式にタップスターとして活動できるようになります。
ものすごく簡単に書くと、国内選考ののちピルスナーウルケル醸造所で開催される「タップスタープログラム」を受講・合格しなくてはいけないという感じですね。
まずは、国内選考に入るためにも「ピルスナーウルケルへの想いを全面的にアピールしていく。」というのが重要になるのかなと感じました。
その上で「大切にする」ということもお忘れなく!
現タップスターに当時の様子を聞いてみました!
実際にタップスタープログラムに合格し、現在日本で活躍されている3名のタップスターに当時の感想を聞いてみました!
質問したのは、以下の4つです。
- タップスターになろうと思ったきっかけを教えてください。
- 実際に選考を進んでいく中で、不安や緊張はありましたか?
- タップスタープログラムの感想を教えてください!
- タップスターとしての意気込みをぜひ!
※個々人の感想になります。
ニユートーキヨー有楽町電気ビル店 野々村光太郎 氏(東京)
(1)タップスターになろうと思ったきっかけを教えてください。
休日のある日、佐藤さんがタップスター プログラムに参加するために、チェコに出発する記事をInstagramに投稿しているのを見つけました。
すぐにアサヒビールの営業担当の方に「タップスターとは何か。タップスター にはどうやったらなれるのか」を確認しましたね。まずは、そこからリサーチが始まりました。笑
数日後、アサヒビール社からの回答は「PilsnerUrquellからの招待されることが最初のステップ」というもの。
そこで、決意しました。
日本でとにかく美味しい状態で、このビールを沢山のお客さんに飲んで頂いて、樽の販売本数で目立って、声がかかるように頑張ろうと!
(2)実際に選考を進んでいく中で、不安や緊張はありましたか?
アジアヘッドタップスターのアダム・ブルチェック氏とは面識はありましたが、国内選考の面接では実際かなり緊張しました。
ただ、その時には「何故、私がタップスターになりたいか」など将来のビジョンが明確になっていたので、想いは伝わったのだと思います。
(3)タップスタープログラムの感想を教えてください!
当時出会ったバーテンダー、現地のお客さんとは、SNSを通じて今でも良き友人として連絡をとっています。
プログラムの最後には、実技と筆記の試験がありました。特に実技試験は同期参加者が10人だったのですが、私はまさかのトップバッターで呼ばれ、凄く緊張しました。笑
広い部屋に通されると、試験官がズラリ。今でもあの緊張は忘れません。笑
ただ、そこに至るまでの経験を出し切れたので、無事に合格することが出来ました。
(4)タップスターとしての意気込みをぜひ!
タップスターに求められる「注ぎ手」として、品質管理や提供品質は、勿論のことですが、ブランドを成長させるための情報発信なども拘っていきたいです。
そして、タップスターになる前に、私が周りの方々(アダム、ブランド関係者など)に与えて頂いたモチベーションを、今後は私も樽生販売店の皆さま、タップスターを志す方々に体現して、伝えていきたいです!
旅するビアトラック 小松大輔 氏(大阪)
(1)タップスターになろうと思ったきっかけを教えてください。
ビールの勉強で東京に行った際に、当時日本で唯一のタップスターでおられた佐藤さんのお店に行ったのですが、専用サーバーでハラディンカという注ぎ方で入れて貰ったピルスナーウルケルが自分の注いでいたピルスナーウルケルと「ここまで味が変わるのか!!」と感銘を受け、自分もタップスターになりたいと思いました!
(2)実際に選考を進んでいく中で、不安や緊張はありましたか?
また、自分の注ぎ方は現地の基準ではアウトだったので、完全に0からスタートとなってしまい本当に大変でした。
(3)タップスタープログラムの感想を教えてください!
世界で一番ビールを飲む人達にビールを注ぐという経験が積めた事と、また、研修が終わってからも毎日毎日遅くまでビールを飲みました!
その時に強く感じたのは「国籍も人種も超えて、同じビールを愛する者同士はファミリーである」という感覚です!
毎夜、毎夜、それを感じながらビールを飲むのが本当に楽しかったです!
授業に関しては、英語なので難しい事も多かったですが「1842年から変わらない味」に対する凄まじいこだわりを教え込んで頂けました!
(4)タップスターとしての意気込みをぜひ!
まだ誰もしていない活動となるので、どうなっていくかは誰にも分かりませんが、コロナ禍で飲食店の在り方が大きく変わってくる時代において、ビールの新しい在り方を作るキッカケになればいいなと思っています!
「旅するビアトラック」を宜しくお願いします!
ODEN 三川華奈 氏(熊本)
(1)タップスターになろうと思ったきっかけを教えてください。
恥ずかしながらタップスターという制度を知ったのは、アサヒビールさんからお話をいただいた時でした。
その日すぐに調べて佐藤さんのことを知り「狭き門であること」「タップスターとはなにか」を改めて理解し、ビールを勉強し始めたばかりの私が選んでもらえるかはわからないけれど、そのままの勢いで選考書類に想いを込めて記入し、翌日には提出しました。
ビールを語る上で外すことのできない、あのピルスナーウルケルが生まれたピルゼンの雰囲気、気候、注ぎ方、こだわり、日本にいるだけではわからない樽や瓶に詰められるまでの「造り手」、そして「注ぎ手」と「飲み手」の未知の世界が広がる本場チェコでたくさんのことを感じて経験したい!!
そして感じたこと、勉強したことを活かしていつも笑顔で飲んでくださるお客さんにもっともっと美味しいピルスナーウルケルを届けて笑顔になってもらいたい!
タップスターを知ってたった一晩で「絶対にチェコに行く!行くしかない!」と思っていました。
(2)実際に選考を進んでいく中で、不安や緊張はありましたか?
実際、チェコに行ってタップスタープログラムが始まるまでは「もしかしたらドッキリかも、、、夢なのかも、、、とか合格取り消しとか言われたらどうしよう」など考えてしまい、毎日不安と緊張と不安と不安しかなくて…あんまり覚えてないです。笑
いざタップスタープログラムが始まると、びっくりするくらいただただ楽しかったです!!
一緒に行ったメンバー全員、現地でのひとつひとつの研修、試験を緊張しながらも楽しんでてあっという間の研修期間を過ごしたんじゃないかなと思います。
チェコで出会った人たちも、みんな熱心で優しくてとにかくピルスナーウルケルへの想いに溢れていて、それに触れることができた時に自分は「この思いをしっかり吸収して帰らなければ!」と自然と不安はなくなりました。
熊本に帰ってくるまでは緊張しっぱなしでしたが、同期のメンバーがとても暖かく、私の顔がこわばってくると「エンジョイはるちゃん!」と声をかけてくれて、今でも緊張した時は自分で自分に唱えています。
本当にみんなで助け合うことができたからこそ、タップスタープログラムを同期無事全員合格で終えることができたと思っています。
(3)タップスタープログラムの感想を教えてください!
タップスタープログラムでは私が勉強・想像していた以上の材料から醸造、運搬、管理、注ぎ、飲まれるまでの全ての過程への想いがあって、それにはちゃんと意味があって、それがずっと大切にされていて、、
その大切な思いやこだわりを胸に、注いでいかなければいけないと思いました。
自分には何ができるのか、ウルケルの何を伝えていけるのかたくさん考えるようになりました。
(4)タップスターとしての意気込みをぜひ!
そして私自身もっともっと新しいピルスナーウルケルの魅力にもたくさん触れて、視野を広げていきたいです!!
今はまだなかなか思うようには動けませんが、少しずつ熊本からピルスナーウルケルの魅力を発信できるように頑張りたいと思います!!
まだまだ私も知らないこと・経験したことのないことがたくさんあるので、みなさんのチェコやピルスナーウルケルにまつわるエピソードもたくさん聞かせてください!
まだ、ピルスナーウルケルに出会えていないたくさんの人にも実際に飲んで、話して魅力を知ってもらえるように頑張ります!!
まとめ
タップスターになるには様々な条件があり、そもそも「推薦形式」であることがわかりました。
粛々と頑張ることも重要ですし、SNSを使って上手にアピールできる方もきっといらっしゃることでしょう!
少なくとも、私が目指そうとすると会社を辞めないといけないのでハードルは高そうですね。笑
今回の3名はもちろん、日本初のタップスター佐藤さんを含む4名の活躍を期待しつつ、新たなタップスターが誕生することを楽しみにしています!
ピルスナーウルケルには「醸造家がビールを醸造し、注ぎ手がビールを完成させる。」というブランド理念があり、製品の品質はもちろんのこと、飲食店様での提供品質に非常に重きを置いています。
そのため、タップスターの皆さんには、自分の言葉でピルスナーウルケルを語りながら、最高のビール体験をお届けすることで、お客様や地域の飲食店様に大きな影響を与えることを期待しています。